唐招提寺展

唐招提寺展(東京国立博物館)

昨日は霙混じりの天候のなか、東京国立博物館に唐招提寺展を見てきました。いつもなら土日の特別展は自由に見られないほど混んでいるのに、さすがにこの天気で人も少なかったです。

唐招提寺は2009年の再公開に向けて、今平成の大修理のまっただ中ですが、その修理が建物を解体して行うものであるために、中の仏像などの文化財を別置する必要があっての展覧会で、恐らく中の仏像をこれだけ近くで見られるのは最初で最後だと思われる展覧会。それだけにすんごく力も入れられていて、展示品は少ないのですが、展示の仕方がびっくりです。部屋を金堂に見立ててその周りの雰囲気までセット?で再現してたり。

その最初の部屋の金堂再現は感激でした。普段だと一段高いところにいて、外からしか見られない仏像群ですが、その間を歩いて回れるんです。裏までばっちり見られる。なんで賽銭箱が無いんだろーと思ったり。天平文化の作品は、飛鳥時代の仏像に比べてやや動きがあり、でも鎌倉時代のような芸術色の強さよりも、宗教色のほうが強くて良いです。

あとはラストの御影堂のふすまをそのまま展示してある箇所。畳までつけて、きちんと襖の形で展示されてるんです。唐招提寺は何度も行ってるのですが、御影堂は6月の開山忌のときしか開かないので入った(見た)ことなかったんですよね。東山魁夷の描いた襖絵は、奈良時代の落ち着いた仏像群の後で見ると、やや色が強い雰囲気ですが、作品として圧倒されるものがあります。特に「山雲」が色・雰囲気共に私は好き。近くでパーツパーツを見るとやはり絵なのですが、遠くから見たときに本当に景色のよう。残念ながら博物館の展示室は広すぎて、正面と右の襖が分断されてしまいましたが、これが狭い部屋の四方を囲っていたら、と思うとドキドキしますね。また、御影堂の開扉の日にも見られないという和上像正面にあたる襖絵「揚州薫風」も、やはり狭い部屋の四方を囲ってこそ、かもしれないと思いました。

教科書でおなじみの鑑真和上像、実物はそういうわけで初めて見ました。いつか開山忌の時に行って見ようと思ってましたが、まさか東京で見られるとは。これって、実はミイラなんじゃないの?ってくらい人の肌触りの雰囲気を持ってますよね。触ってみたくなるくらい。特に口周りとか気味悪く思えるくらい人間的な感じ。なるほど、どの教科書にも載るだけのことはあるわ。

というわけで、仏像ばかりの展覧会に大満足だったのでした。今回は音声ガイドもかなり凝っていて、ナレーションは寺尾聰でしたし、ほぼすべての展示物(展示品が少なかったのもありますが)に対してガイドがつけられてました。おすすめ。

コメント