30年に現れる論調の差

先日、調査依頼を受けて私が生まれた頃の新聞を繰っていたのですが、そのとき、こんな記事を見つけてしまいました。

「算数でついていけない子供が6人に1人の割合 東京の小学校 詰め込みが原因」(1975年5月11日)

現役教師500人に対し将来についてどのような意識を持っているか尋ねたもので、落ちこぼれる原因の一つとして指導内容が多すぎると書かれています。

私の頃もそんなこと言われてましたよねー。詰め込みだからダメだみたいな。このときの世論というか、こういう風潮が「ゆとり教育」を生み出して、数年で「やっぱりダメだった」って元に?戻ろうとしてます。ゆとり教育が良いかどうかは別として、上記記事を読んだ上で、そのことを考えるとちょっとがっくりですね。結局、「現場の感覚」ってその程度ってことなのかしらん、とか。

今年大学には「ゆとり世代」と呼ばれる子たちが入ってきてるそうですが、そう考えるとまだ彼らは社会に出てもいないわけです(高卒で社会に出るとしても、まだ今年から)。30年前から詰め込みが問題視され、ようやく導入された「ゆとり教育」、もっと長い目で見てもいい気もしますけど。もしかしたら、受験戦争と詰め込みの世代のわれわれより、何か別の良い面を持ってる可能性もありますし、この子たちが小中学校を過ごした時代は、未曾有の不況期で、なんらかの問題があったとしてもそれは義務教育のせいではない可能性もありますし。

打ち上げ花火のようにぱっと現れ消えていった「ゆとり教育への傾倒」は何だったのか、犯人探しということじゃなくて、政策策定の経緯から、賛否の議論、その放棄までの検証はしっかりやってもらいたいですね。

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