ケータイ対パソコン・・・なの?

Yahoo!ニュース
- impress Watch - 総務省調査、携帯からのネット利用がパソコンを上回る


ケータイとPCの利用者数を比べて意味があるのか、という気はするけれども最近カウンターにケータイを持ってきて、「この本どこにありますか?」って聞きに来る子は確かに増えました。ただ彼らがパソコンを使わないかというとそうでもなく、例えばパソコンを使わずにレポートを書くことは無いだろうし、大学で発行されるアカウントを使ってログイン出来る端末は、いつでも満員です。

私がケータイでネットを使うときは、メールか、馬券購入か(しかしパソコンで使うことのほうが多い)、乗り換え案内くらい。私のケータイは一般的なサイトを見られる機能なんかはついてないので、そんなに使わないですね(料金もかかるし、回線遅いし)。ケータイを持って聞きに来る子も、メールの文面を見せてるだけなので、それほど違いは無いと思ってました。この記事の元資料は以下のものですが、

平成17年度「通信利用動向調査」の結果(総務省 報道発表資料)

やっぱり、ケータイを使ったインターネットの利用目的はメールが69.5%でダントツ。他は着メロのような音楽ダウンロードがようやく26.2%です。パソコンはメールが54.4%、ニュース・天気予報50.2%、商品・サービスなどの情報入手が55.4%、物品購入が39.7%とそれなりに様々な用途で使われているのに対し、ケータイはメールのみ、といったほうが正しいように思います。ケータイしか使わない人は、もしかすると、上記のようなパソコンで使われているサービスを利用しないのかもしれません。また、このデータは、「このサービスを使うのに、パソコンとケータイ、どっちを使いますか?(ケータイ、パソコン、両方、そのサービスを使わないの4択があり得る)」という質問ではないので、比べるためならそれが欲しいかな。

また、この記事少し主観が入っているという気がするんですよね(特にタイトル)。いや、もちろん間違ったことは言ってないのですが、ケータイだけに注目した場合、「ケータイでインターネットを利用する人のうち、ケータイだけを利用する人は27.7%、パソコンと両方利用する人は70.2%である」なんですよ。なんかケータイvsパソコンで、ケータイからの利用が逆転したと誤解されそうじゃないですか?しかも昨年52.8%だった併用派は、今年57.0%に増えています。それはケータイのみ利用の19.0%から22.5%への上昇よりも、割合の幅も実数でも大きいものです。それでも30%近くケータイのみでネットを使ってるってのは私にとっては驚きですが、それもちょっとしたからくりがあるのです。今年の詳細データはまだアップされてないので、昨年の詳細データを見てみましょう。問題のパソコン&ケータイの併用割合が低いのは、世代的に見て12歳以下(こちらはパソコンのみの利用が多い。親が持ってるパソコンは使わせて貰えるけど、各自に多機能ケータイは与えられてないということか)と、50歳以上(こちらはどっちかは使ってるけど、両方は使わない派)で、さらにケータイのみの利用率が20%を超えるのは、60歳以上のみなのです。他の世代は圧倒的に併用派、特に20-39歳は75%が併用で、ケータイのみは10%程度、20歳未満の子たちは逆にケータイのみのほうが低く、10%を割り込みます(理由は12歳以下と同じか)*1。まだ平成17年の詳細データはアップされてないので、この1年で劇的に変わっている可能性は否定できませんが、ケータイのみと併用率の上昇幅がほぼ同じであることを考えると、それほど違いは無いように思います。統計データは怖いです。

この元データを見たい方は、通信利用動向調査の、報告書(世帯編)、(企業編)、(事業所編)を見ましょう(5/20現在、平成17年のはまだ無い)。もっと細かくデータを取ってるので、案外面白いですよ。前に、世代別ケータイメール利用率の推移を調べたい、という子に、この資料を提示した記憶があります。また、概要は主にダウンロード利用の選択肢ばかりで、アップロード利用(情報発信系のもの、ホームページ開設とか)が無いのですが、去年までの報告書にはそういう選択肢もありました。情報通信の利用動向を調べたい方にはおすすめ。

*1 平成16年「通信利用動向調査」報告書(世帯編) p.43 「図表4-5 インターネットの利用機器 男女 年齢階層別」による

コメント