絶版の本を遠くまで出かけずに読む方法

図書館にかかってくる問い合わせに、そちらの大学に勤めていた先生の書いた本が、絶版でどうしても手に入らない。大学で持ってるか、それを見せてもらえるかというものがあります。

ある種の資料(例えば、大学の紀要に掲載した論文とか、助成金で行われた研究の報告書などの灰色文献)は、その著者の所属元に聞き、訪ねるというのは正しいのですが、一般の方がかつては流通していたけれども、今は絶版になっているという本を問い合わせるのに、いきなり所属元というのは不正解です。通常大学図書館は一般に開放されてないし、そういう資料は大抵他に持っているところがあるからです。

第一候補は、地域の県立図書館。そして国立国会図書館。

とはいえ、国会図書館まで行くのはちょっと・・・という人も多いでしょう。そのために、欲しい資料を持っている他の図書館や国会図書館から、近所の図書館まで本を取り寄せるサービスがあります。

例えば都立図書館から都内の公共図書館への貸し出しは協力貸出というらしいです。茨城県立図書館の図書館事業の紹介には、ご存じですか相互貸借という案内ページがあります。

当然この相互協力の輪の中に国会図書館も入っており、全部ではありませんが多くの図書を近くの公共図書館まで取り寄せて読むことが可能です(*国会図書館から借りた本は館外貸出はできません)。図書館間貸し出しできない資料や雑誌の論文は、著作権法の範囲内で複写して取り寄せることもできます。

電話をしてくる人に、「まずはお近くの公共図書館に問い合わせてみてください、こういう方法もありますから」、と伝えると、「そんな方法があるんですか」と驚く方が多いですが、そうなんですよ。もちろん市民から使いたいという希望があればその図書館で買うのが基本ですが、絶版本などはそういうわけにもいきませんので、図書館の中で共有しようという考え方です。絶版本に限っては依頼図書館が蔵書として受け入れることを条件に全複写する方法もあります(この場合は蔵書として受け入れることという条件が伴うので、どの図書でもどの図書館でもやってくれるわけではない)。

まずは近くの公共図書館に行ってみましょう。そこが全国の図書館への窓口です。

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