ザ・ニューリッチ / ロバート・フランク著

ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態

ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態
著者: ロバート・フランク
出版者: ダイヤモンド社
発売日: 2007-09-14


アメリカは資産総額の上位1%が、国内全体の総資産額の33%を占めている。資産総額100万ドルを超える富裕層ばかりでなく、特に資産10億ドルを超えるような超富裕層も年々増加傾向にある。そういった富裕層の多くは、昔からの富豪と呼ばれた人々ではない。元は中流階級、あるいはそれ以下の層にいた人々が、短期間で富を手に入れたという新富裕層たちだ。その莫大な資産、そして年間所得は、一国家規模と言っても過言ではない。一般では考えられない消費行動、そして資産規模を誇る「リッチスタン」人たちが住むヴァーチャル国家リッチスタン。この本では、その生態や、彼らならではの問題、そして国家に与える影響などが多角的に語られています。

ウォールストリートジャーナルの記者、ロバート・フランクの造語「リッチスタン」は、今米国でも話題のキーワードだそうですが、それ以上にこの本自体の語り口が面白いんですよね。まるでおとぎ話のようなリッチスタン人たちの生態が面白おかしく語られています。リッチスタン独自のブランド(一般人では買えないような桁の違う時計とか)があったり、ホームドクターやハウスホールドマネジャー(昔の執事だが、やっていることは全然違う)といった新たな職種を生み出したり。彼らは、消費と同じように桁の違う寄付を行うけれども、一方で様々なものの値段を引き上げてもいて、一般市民生活にも影響を与えているそうです。そう言えば、ワールドカップやオリンピックの座席料金が恐ろしく高かった記憶があるのですが、こういう人からしてみれば「お金を出せば買えるものだったら、この値段で競争力が下がるならOK」という感じなんでしょうね。郊外では中途半端に高いマンションが売れ残り始めてる一方で、都心の億を余裕で超えるようなマンションは、出ると同時に完売状態だとかも聞きます。10億ドルなんていう資金を個人的に回せる人にしてみれば、1億、2億なんて端金なんだろうなあ、とも思うのです。

かつてなら、「まあ海の向こうの話だよね」で済んでたことも、経済のグローバル化でそうも言っていられません。アメリカでモノを買うのも、日本でモノを買うのも同じ話。実際私も海外のネットショップでモノが買えるわけです。うーん、なんか漠然とだし、うまくまとめて言えないのですが、どこか怖いような気がしてしまいます。

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